クロフォードをクリアに

クリアにコルクボードに

無縁仏になりそこなったからである。翌日、目的地について、海べにたって、いざというとき私は刑事につかまってしまった。万事休す。だが通貨はありがたいものである。やがて、公立病院へゆく汽車賃に、室員と顔つなぎの茶菓子に、さりげなく変貌してくれた。もはや死のためではない。生のために、生きぬくために、私を支えてくれたのである。エ9 峠みちその三「やあ、こりやあ骨董品じゃ、ようここまで使うたもんや」行李から真夏のものを出して貰っていると、通りがかりに覗きこんだ新さんが、舎中に聞こえよがしの声を出した。私はおもわず新さんに背をむけて行李をかばった。みるひとの心どころにまかせおきたかねに澄める夜半の月かなこの心境にはいくつになってもなれない。だがそれにしても角のいたんだ竹行李を、いまどき後生大事に持っているのは私ぐらいのものであろう。

もしもきりだったら、初対面の日と同じく、会話はうまく進まなかったことでしょう。その日は当時流行していた繊訟クラブに行って、肝臓を痛めて禁酒中の花田さん、その頃はお酒が飲めなかった輪島さんと、三人ともジュースで楽しく夜中までおしゃべりいたしました。それ以来、お付き合いが始まりました。といっても、お誘いを受けるといつも、「輪島さんも一緒ですか?」と聞くようにしておりましたから、実際には三人でのグループデートでした。とはいえ、輪島さんのことを男性として意識していたわけではなく、その明るさ、初対面とは思えない気楽さがただ楽しくて、またお会いしたいと純粋に思っておりました。一度目か三度目に会ったとき、輪島さんが気をきかせて席を外し、二人きりになると、花田さんは愚痴をこぼしはじめました。

パチンコ台、コンピューター、パソコンが並び、解析室の人々が忙しく動き回る。例えば、スロットメーカー発表の数値を全て憶えても、設定l.の数値の差がないので、確実な設定判別は難しい。データ中心に解説しているアカデミックな攻略法を読んで、e梁山泊の強大な情報収集力、解析力第四章攻略本業界の裏表98 もし勝てるなら、パチンコ屋は全て潰れている。要するに、機械の性能とゲーム性は理解できるが、勝つ要素を見出せない。逆読みをすれば、メーカーは勝てるものならやって見ろと裸で待ってくれるが、残念ながら素手では相手は数段上、武器を持たないと勝てない。そこで登場するのが攻略法という武器。これは強力になればなる程、一瞬にして対策される。どちらにしてもメーカーは一枚上。兎に角、長く遊べて、少し勝てる。

これは、まぎれもない事実である。山崎は昭和五十年当時、私に、「坊さんは年増(としま)の芸者だ。疑い深くて嫉妬深い」とさいぎ話したこ、とがある。そして、〃坊主″、という職業から発する猪疑心と嫉妬心、そして 在家に対するコンプレックスから起こる、反作用としての差別意識を巧みに利用しながら、宗門中枢に対する裏工作を続けてきた。山崎はそれにより、宗門の宗教的権威をもってグループを間接支配し、みずからの欲望を満たそうと企て(くわだ)ていたのである。この山崎の裏工作は、細井日達管長の時代にとどまらず、阿部日顕にも及ぶ。山崎あやつは約一二十年間にわたり、日蓮正宗のトップを篭絡(ろうらく)し、それを意のままに操り、その超絶(ちようぜつ)した宗教的権威をもってグループを利用